日本臨床検査自動化学会
平成17年度第2回遺伝子検査技術委員会議事録
1. 開催日時 平成17年9月28日(水) 14:30〜15:30
2. 開催場所 パシフィコ横浜 会議センター3F(313+314号室)
3. 出席者(敬称略) 中井、野村、川上、奈良、登、杉浦、渡辺、宮地、東田、舩渡、朝長、菱沼(代理)、通山、橋本、吉田、諏訪部、尾崎、渡邊、影岡、溝上、小出、宮島、村田、磯部、竹越、南木、横田、増川、成澤、石川、森、三好、諏訪、久保田、宮田、酒井(代理)、川瀬、竹下、林、糸賀
4. 議題
(1) 新委員の紹介
(2) 前回議事録の確認 (資料2)
(3) 遺伝子検査の標準化に関する議案 (資料3,4,5)
(4) 診療目的のヒトゲノム解析に関する施設間連携について (資料6,7,9)
(5) 第7回遺伝子検査技術セミナーに関する議案(資料8)
(6) その他
5. 配布資料
資料1 委員会名簿
資料2 平成17年度第1回委員会議事録(案)
資料3 白血病関連遺伝子検査アンケート集計結果
資料4 Major-bcr/abl mRNAの外部精度管理の実施について
資料5 自動核酸抽出装置の一覧
資料6 診療目的のヒトゲノム遺伝子診断の施設間連携に関するアンケート結果(全国版)
資料7 診療用遺伝子・染色体検査依頼書(匿名化専用伝票)
資料8 第1?6回遺伝子検査技術セミナー
資料9 遺伝学的検査の適切な実施について
6. 議事内容
(1) 中井会長より村田、増川新委員が紹介された。
(2) 平成17年度第1回議事録が報告され、承認された。
(3) 遺伝子検査の標準化
1) Major-bcr/abl mRNAの外部精度管理(資料4)
横田委員より外部精度管理の実施案についての説明がなされた。アンケート調査より、定量検査のみでは実施施設数が少なく、施設数が限定されるので定性検査を含めたサーベイとする。実施項目は実施施設数の最も多いMajor-bcr/abl
mRNAとする。実施予定施設は合計30施設で、試料としてK562 Cell lineの凍結乾燥品とそのcDNA
(2濃度)を用いる。そして、分析誤差を解析するためcDNAを回収する。検討課題としては各施設の定量値の単位が異なるため、統一した単位で評価できるか等の問題点がある。
標準化を進めるにあたっては、方法を統一して精度管理を実施することで施設間差がどの程度まで縮小するかを知ることができ、また、各ステップでの問題点を明確にすることができる。
・同じ方法で標準化していくことが目的であるが、そこに至るまでにはこの様な外部精度管理を繰り返す必要がある。
・各ステップの誤差要因を一つずつつめていくよりは、サーベイを実施して実体を調査しながら、問題を解決していく方向で進めて行きたい。
・石川委員よりJALSGの宮村先生のグループによる東北大学と検査センター3社での施設間差について報告があった。試料として骨髄液を配布して測定し、そのRNAとcDNAを回収し解析したところ10倍の差が4例、最大で700倍の差が見られた。RNA抽出法では血球分離法(溶血法とFicoll法)による違いがみられ、最も大きな差はPCRのステップで生じておりprimer,probeを統一化する必要性がみられた。次のセミナーで宮村先生に講演を依頼してはどうか。
その他、内部コントロール遺伝子としてGAPDH 、ABLの使用についての利点と欠点が議論された。
2)自動核酸抽出装置 (資料5)
自動核酸抽出装置は基礎の分野で開発され、最も早かったのがクラボウ(プラスミドDNA抽出)である。まだ、RNA抽出についてはきちんとした装置が出ていない。今後、核酸抽出は自動化され遺伝子検査の分野でとても役に立つと思われる。臨床検査への適用については各メーカーにおいてまだ十分に検討されていない。委員会としてワーキンググループを作り検討してはどうか。
・抽出装置を含めた定量検査は保険請求できず、一般病院でも測定できるように配慮してほしい。
・現状では、抽出装置は研究用機器であり、保険適用を含めた検討を行っている。
・検体の前処理が結果に大きく影響するため、検体の前処理と外部精度管理を含めてシステム全体に拡大して考える必要がある。
春の例会までに、まず第一歩として自動核酸抽出装置について、拡大するときは、システム全体を考慮して発展させて行きくこととなった。
(4)診療目的のヒトゲノム解析に関する施設間連携(資料6)
診療目的のヒトゲノム解析ついてのアンケート調査を全国の大学病院検査部へ拡大して行った。回収率50%であったが、17施設において70疾患が実施されていた。これらの施設には、受託が可能かを再確認する必要がある。具体的にコストの問題などがあるが、まずは、第一歩を踏み出すことが大切である。17施設のできるところからはじめてはどうか。
遺伝子検査を外部に依頼する場合は、匿名化が絶対必要になるので、千葉大学病院での例(匿名化専用伝票)を資料7に示した。診療用遺伝子・染色体検査については中央採血室で採血したとき、検査部で匿名化を行っている。
施設間連携について意見交換が行われた。
・3省庁の倫理的な書類は各施設で提出するのか。
・3省のガイドラインでは診療目的の遺伝子検査は必ずしもそれに従う必要はない。診療と研究の線引きが難しい点もあるが、千葉大学ではあらかじめ各診療科からアンケートを取り、診療目的である約500疾患を一括して生命倫理委員会の承認を得ている。
・倫理委員会を通さないでも、依頼する施設と受託する施設でしっかりとした取り決めを文書で取り交わしておけば問題ない。
・匿名化と電子カルテとの問題についてはどうか。
・千葉大学病院では当面は伝票運用で行い、遺伝カウンセリングのカルテを含め電子カルテには載せないようにしている。
・各施設でクリアにしなければならない点を明確にする必要がある。そうすれば、安心して次のステップに進めるのではないか。高度先進医療であるかの情報を集める必要がある。ワーキンググループをつくりコストの問題を含め検討してはどうか。
外部受託を営利目的でなければ、業として行っても良い。次回までに具体的にワーキンググループをつくり、検討内容を示したい。
(5)第7回遺伝子検査技術セミナー(資料8)
今まで感染症と基礎的な話は必ず取り上げている。HIV、抗酸菌、白血病遺伝子検査の精度管理(宮村先生のグループ)についての意見が出された。
次回の委員会までにe-mail等で提案し、それらを参考に具体的な案を示すこととなった。
(6)その他
野村委員長より人類遺伝学会の遺伝学的検査の標準化準備委員会についての説明がなされた。この委員会の目的は、データの施設間差是正を目指すのではなく、例えば、どういった報告書の書式が望ましいか、遺伝子検査の限界はどのくらいか等である。
最後に認定技師についての意見交換が行われた。
・この委員会は検査技師の技術向上も1つの大きなテーマとしている。遺伝子検査の認定技師制度について他の学会では動きがない。この学会はどのようなスタンスをとるのか。
・遺伝子診療学会では特に進んでいない。この学会でイニシアチブをとるのが相応しいのではないか。
・他の学会と相談して決めて行きたい。
(7) 次回委員会は平成18年4月7日(金)、第20回春季セミナーの前日に開催される予定である。