―会長から―
序
平成12年度から、日本臨床検査自動化学会の会長を引き受けることになり、まず2つの委員会を立ち上げました。科学技術委員会と遺伝子検査技術委員会です。その1つ科学技術委員会は標準化に関する委員会のことで、各検査関連団体で標準化委員会という名称が使われていて紛らわしいので“科学技術委員会”とネーミングしました。勿論日本臨床検査標準協議会をはじめとして、日本臨床検査医学会、日本臨床化学会、日本臨床衛生検査技師会などの標準化を扱う委員会もそれぞれ活発に活躍いたしております。したがってこれらと連係して、かつ本学会独自の役割分担を積極的に行い、検査の現場により高レベルの標準化に資する内容を提供して行こうというものです。
本科学技術委員会が立ち上げからわずか1年半で、その成果を問う標準化マニュアル第1巻を上梓できることになりましたのは、桑克彦委員長、関口光夫副委員長以下多くの委員会委員の先生方の格別の御努力の賜と思います。厚く御礼申し上げます。
本小冊子が検査室でのバイブルとして愛用され、また続編の上梓が督促されるほど好評を得ることを切に希望いたします。
平成13年9月
日本臨床検査自動化学会会長 中井 利昭
はじめに
日本臨床検査自動化学会は、平成12年度から科学技術委員会を設け、遺伝子検査を除く臨床検査の自動化と情報に関する標準化の作業を開始した。標準化作業の内容は、原則として日常検査に必要となる作業マニュアルあるいは教育マニュアルである。本汎用自動分析装置の性能確認試験法マニュアルは、生化学成分検査や免疫成分検査に用いられている自動分析装置の性能を確認するためのものである。いわゆる生化学自動分析装置は、多様なニーズへ対応できる機能が搭載されたランダムアクセス型が主流である。このような装置の測定原理は、大部分が吸光光度法である。この測定原理による自動分析装置の性能因子は大別すると正確さと精密さになり、それぞれについて測光系と測定系になる。測光系には吸光度の比例性、測光繰り返し精度、見かけのモル吸光係数が、また、測定系にはキャリーオーバー、コンタミ、分注・混合能、プローブの水希釈、サンプル容量、試薬容量、測定温度などがある。分析装置の性能には、個別特性と総合特性がある。前者はメーカーにより個々の部品ごとに把握されている。後者もメーカーにより仕様として提示されるものである。これに対してユーザーが日常検査で用いる場合は、後者の総合特性としての性能をメーカーの仕様と試験して確認することになるユーザーレベルで行われる分析装置の性能確認試験の試験方法は、これまで関係者により検討され、提示されてきた。また、これに基づいて具体的に実施した結果が、主に本学会の大会や学会誌などに報告されている。本マニュアルは、これまで報告された試験法をマニュアルとしてまとめたものである。各試験法は、現状で一般的に適用可能の範囲のものであり、装置の特性を必ずしも完全に表現できるものではないが、実用上の性能として把握することは可能である。試験の実施に当たっては、必要な機材を準備することと試験技術の修得が必要になるが、技能をもったグループが代表して行えばよい。また、試験法の実施に当たっては、装置、確認部分によっては分析装置の運転を日常の運転方式と変更して行う必要があるのでメーカーの技術者との連携が必要である。
本マニュアルを基礎にしてより科学的な試験法に磨き上げていただきたい。
平成13年9月
科学技術委員会委員長 桑 克彦
